新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」への対応で、政府は入国が認められている日本人らのうち、変異株が流行中の国・地域からの入国者に、国の確保した施設での待機を求めている。しかし、施設が不足しており、到着した空港から遠く離れた場所への移動を強いられるケースも相次いでいる。
「成田周辺に(待機用の)ホテルがないので、関西空港に行っていただきます」。欧州で日系企業に勤める50代の日本人女性は12日午前11時過ぎ、ヘルシンキ経由で成田空港に1人で到着した。他の乗客と共にいすに座ってPCR検査の結果を待っている時に、係員と思われる男性からそう説明を受けた。
「え? マジか……」
驚きのあまり、男性が名乗った肩書や名前は覚えていない。
他の乗客が「帰りはどうなるんですか?」と尋ねると、待機期間中の検査で陰性なら行きと同じく政府のチャーター便で関空から成田に戻る、という説明もあったという。
年末年始を東京の実家で過ごすための一時帰国だった。待機期間は6日間。空港内の待合室に通されたが、同じ便の約60人のうち20人以上が自分と同じ状況だと知った。「(感染防止のため)大声は出せない状況でしたが、みな『何が起こっているの?』と困惑していたと思います」
女性は実家の母親に、大阪行きをLINEで伝えた。母親は驚いていたという。
やがて別の便で到着した人も次々加わり、午後8時過ぎに90人ほどがチャーター便で関西空港へ。到着した時には、午後9時を回っていた。20人ほどと一緒にバスに乗ると、宿泊施設に移動するとだけ告げられた。
「施設に着いてから食べてく…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル